【取材記事】奥浅草で出会う、フランスのババ──『フランス食堂 サバ』、幸せなひと皿を味わう
- savarin2022-blog
- 4月26日
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更新日:7 日前
有数の国際都市である、東京の浅草。
伝統的な街並みが多くの人を引き寄せ、連日、国内外の観光客で賑わっています。そんな喧騒から少し離れた “奥浅草”の裏路地に、フランスの風を感じる場所があります。『フランス食堂サバ』――お手頃価格で、本場の味が楽しめると評判のお店です。
そんなお店から、今回は、デザートの“ババ”をご紹介。フランスでは身近な伝統菓子ですが、日本ではまだあまり知られていない、その味と魅力とは?
「現地の味を日本で」―― 山口シェフの情熱
店主で、シェフの山口さんが、初めてフランスに渡ったのは今から約40年前のこと。本場の味に惚れこんで、今も、毎年、フランスに行って現地のお店を食べ歩いているそうです。 「ついこの間も、北部の港町・ドゥーヴルに行ってきました。シーフードレストランを回ったり、市場の海鮮を見たり。特に、牡蠣が絶品でしたね」と、山口さん。
そんな現地体験の積み重ねが、今の『サバ』の料理に息づいています。フランスの庶民食堂“ブイヨン”の空気感を日本で再現する――それが、山口さんのモットーです。
「フランス料理って、本当はもっと気軽なもの。現地のブイヨンは、1ユーロ(約160円)のスープだってあるし、トータル25ユーロ(約4000円)を出せば、ワイン付きの夕食だって食べられます。うちの店の料理も、そうやって楽しんでほしいんです」(山口さん)

【店内写真① カウンター席がメインで、4人席のテーブルがひとつ】
前菜、メイン――浅草で味わう、フランスの日常ごはん
かつては、高級フレンチ店にもいたという山口さん。お店の壁には、フランス料理界の巨匠である、ポール・ボキューズさん直筆の手紙が飾られています。
「フランスの高速鉄道でたまたま、ポールさんを見かけて声をかけました。勇気を出して、“私も、フレンチの料理人をしています”って。そしたら、後日、激励の手紙をくれたんです。一生の宝物です」(山口さん)


【店内写真② ポールさんからの手紙】
『サバ』で提供される料理は、どれも本場の味にこだわったものばかり。
特に、パリの9区に本店がある、老舗『ブイヨン シャルティエ』の雰囲気を味わえるのがオードブル(前菜)です。
オードブルの盛り合わせ
ゆで卵に自家製マヨヨネーズをあしらった “ウフ・マヨ”と、ニンジンの千切りサラダの “キャロットラペ”は、パリの『シャルティエ』でも、定番のオードブル。
『サバ』では、それらにリエットやレンズ豆などを添えて、バラエティ豊かな一皿に。
「フランスでは、オードブルは、一皿ずつ提供されることが多いのですが、うちの店では、おひとりさまでも楽しめるように盛り合わせで提供しています」(山口さん)

【料理写真① オードブルの盛り合わせ】
季節のメイン料理
『サバ』には、“オードブルの盛り合わせ+ お好みのメイン料理”のセットがあります。この日のメインは、期間限定メニューの “豚足のソテー ベアルネーズソース”。表面をパリッと焼いた豚足に、香草のエストラゴンなどを効かせた、マヨネーズ風のソースがかかった一皿でした。
「豚足は、フランス料理には欠かせない存在。ベアルネーズソースは、フランスのビストロでよく使われる肉料理のソースです。マヨネーズのように、ほどよい酸味で、ジューシーな豚足と相性抜群ですよ」(山口さん)
日本では、マヨネーズ系のソースを合わせるなら、魚や鶏肉ですが……。 「元々、マヨネーズは、肉料理に添えるためのソースでした。豚足と合わせるのは、意外かもしれませんが、一度、食べたらやみつきになること間違いなしです」と、山口さん。
そんなフランス料理の豆知識が聞けるのも、『サバ』の大きな魅力です。

【料理写真② 豚足のソテー ベアルネーズソース】
デザート――フランス人が愛する “ババ・オ・ロム”
フランス伝統菓子のババは、バターをたっぷり使ったブリオッシュに、ラム酒入りのシロップをたっぷりと染み込ませるのが基本です。
「フランスでは、“ババ・オ・ロム”は、すごく身近なデザートです。“サバラン”とも、言いますね。ケーキ屋さんはもちろん、ブイヨン(食堂)をはじめ、多くのフランス料理店で提供されています。『シャルティエ』にもありますよ」(山口さん)
『サバ』で提供されている、“ババ・バニラアイス添え”は、フランスの伝統の味を踏襲しつつ、随所に、独自の工夫が見られます。
「提供直前に、ブリオッシュをリベイク(温める)して、そこに、バニラアイスを添えています。フランスでは生クリームを添えるのが定番ですが、食後にすっきり楽しめるよう、あえて冷たいアイスを添えました」(山口さん)
リベイクしたブリオッシュから、ラムの香りがふわっと広がって、アイスをひと口――。まさに至福の瞬間でした。

【料理写真③ ババ バニラアイス添え】
『サバ』は、ワインの種類も豊富です。フランス料理を気軽に楽しみたい。本場のババを食べてみたい――そんな人に、ぜひおすすめしたいお店です。

【筆者・いしい(左)と、店主の山口さん(右)】

【お店の外観】
フランス食堂 サバ
最寄り駅:浅草駅(つくばEXP)
電話番号:03-3874-0020
住所:東京都台東区浅草3-34-1
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